情報処理技術者試験が、2027年度から新制度へ移行します。カギは3つ——①全区分がCBT(コンピュータ試験)化、②試験区分が8つに再編、そして③応用情報技術者・高度試験が「マネジメント/データ・AI/システム」の3つの新試験に大括り化されること。長年つづいた区分名(ITストラテジスト、ネットワークスペシャリスト等)が姿を変える、四半世紀級の大改革です。このページでは、何がどう変わるのかを一次情報だけを根拠に図解し、各試験の対策ページへの入口をまとめます。

1. 結論:新制度は「8区分+CBT化」。2027年度から段階的に開始
IPAは、経済産業省「Society 5.0 時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」(2025年5月)を受け、情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の抜本的な見直しを進めています。ポイントは次のとおりです。
- 施行時期:2027年度から新制度へ移行(段階的に開始)。現行制度は2026年度の試験実施をもって終了予定。
- 試験方式:新制度は全区分がCBT方式。IP/SG/FEは通年実施の予定。
- 区分数:新制度は8区分(下記マップ)。応用情報技術者試験と高度試験は、3つの新「プロフェッショナルデジタルスキル試験」に大括り化されます。
新制度・施行スケジュール(IPA検討状況より)
春頃
夏〜秋頃
※新設PD各試験の実施回数・期間などの詳細は検討中。シラバス案・サンプル問題は2026年度夏頃までに順次公表予定。
2. 新8区分マップ(水準別の全体像)
新制度の8区分を、目標とする水準の順に並べると次のようになります。IPAの改定案では各試験の水準が「基礎的なリテラシー/基本的な知識・技能/専門的な知識・技能」という言葉で示されています(下図の左ラベルは、その水準感をわかりやすく整理したものです)。
新8区分を水準別に整理(濃い緑枠=新設 / 灰緑枠=継続)
リテラシー
知識・技能
知識・技能
※「レベル1〜4」等の番号は改定案には明記されていません。番号による分類は用いず、原本の水準表現で整理しています。
3. 新旧対応:あなたの狙っていた試験はどこへ?
今回の再編のいちばんの目玉が、応用情報技術者試験と高度試験の「大括り化」です。IPAの検討状況によると、対応関係は次のように整理されています(PD各区分の名称は仮称)。
応用情報+高度試験 → 新「プロフェッショナルデジタルスキル試験」3区分への大括り
出典:IPA「制度見直しの検討状況」(2026-03-31公表)。名称はいずれも仮称。
| これまで(現行) | 新制度での位置づけ |
|---|---|
| ITパスポート | IP として継続(出題分野を再整理) |
| 情報セキュリティマネジメント | SG として継続(科目A体系・科目B一部変更) |
| 基本情報技術者 | FE として継続(科目A体系・科目B一部変更) |
| 応用情報技術者 | PD-M/PD-D/PD-S の3区分へ大括り化(高度試験と統合) |
| ITストラテジスト/PM/ITサービスマネージャ/システム監査技術者 | PD-M(マネジメント)へ再編 |
| データベーススペシャリスト 等 | PD-D(データ・AI)へ再編 |
| システムアーキテクト/ネットワークスペシャリスト/エンベデッドシステムスペシャリスト | PD-S(システム)へ再編 |
| 情報処理安全確保支援士 | SC として継続(科目Bでマネジメント強化等) |
4. 新設3区分「プロフェッショナルデジタルスキル試験」とは
新設の柱が、この3区分です。3つで1つのプロフェッショナル領域を成し、複数領域を習得すると活躍の場が広がる設計(例:マネジメント×データ・AIで、データから得た洞察を経営層に提案しデジタル戦略へ)とされています。

PD-M(マネジメント):DXの企画・サービス・プロジェクト・監査を主導
科目B(技能)の出題範囲は4本柱——①組織及びビジネスの変革・デジタル戦略(システム思考/デザイン思考、イノベーションマネジメント)/②サービスマネジメント/③プロジェクトマネジメント/④組織のガバナンス・監査(情報セキュリティ、新技術=AIほかの利活用に関する監査を含む)。旧ST/PM/SM/AUの知見を統合した構成です。
PD-D(データ・AI):データ基盤の構築と、生成AIの実務適用
科目B(技能)は——①データマネジメント(データ戦略・ガバナンス・品質・トラスト管理)/②データ・AIの活用(統計・機械学習・時系列に加え、生成AI:文書/画像生成・マルチモーダル・RAG・AIエージェント、そしてAI倫理)/③データエンジニアリング(正規化・概念/論理/物理モデル・データ基盤/パイプライン)/④データ処理とアルゴリズム(SQL・擬似言語)。生成AIやRAG・AIエージェントが国家資格の技能範囲として明記された、時代を象徴する区分です。
PD-S(システム):要件定義〜アーキテクチャ〜開発・運用を主導
科目B(技能)は——①システムアーキテクチャ/②ネットワーク(クラウド・仮想化・ゼロトラスト等)/③フィジカルコンピューティング(IoT・組込み・制御・ロボティクス)/④システムの開発・運用(アジャイル/CI-CD/DevSecOps/AI駆動開発/SBOM/SRE)。旧SA/NW/ESを統合し、モダン開発の語彙が全面に入っています。
5. 新設「データマネジメント試験(DM)」とは
DMは、データ・AIを効果的・効率的に利活用する基本レベルを評価する新設区分です。科目B(技能)の範囲は、①データの適切な取扱い(メタデータ・データ品質の確認、AI活用時の留意点、非構造化データ)/②データ活用による意思決定・検証と改善/③データ活用の組織文化の醸成/④データマネジメントの成熟度向上(PoCの企画・実施)。科目A・科目Bのサンプル問題がすでに公開されており(2026-06-22)、新制度の出題イメージをいち早くつかめる区分です。
6. 継続するが中身が変わる:IP/SG/FE/SC
- IP(ITパスポート):出題分野が従来の「ストラテジ系/マネジメント系/テクノロジ系」から「ビジネス/テクノロジ/セキュリティ・倫理」へ再整理。DXのマインド・スタンス、データマネジメント基礎、AI時代のセキュリティ・倫理が加わります。
- SG(情報セキュリティマネジメント):科目Aの出題範囲体系を変更、科目Bの一部を変更(技術動向・環境変化への対応)。
- FE(基本情報技術者):同じく科目A体系・科目B一部変更。科目Bはプログラミング/データ構造・アルゴリズム/情報セキュリティが柱で、擬似言語を扱います。
- SC(情報処理安全確保支援士):科目Aの体系変更に加え、科目Bでマネジメント分野を強化、試験時間・科目Bの出題形式を変更。AIの安全な導入・利用に関する規程など、現代的なテーマが明記されています。
7. 試験の科目構成が変わる(科目A-1/A-2/B)
新制度では、区分によって科目の組み方が異なります。とくにプロフェッショナルデジタルスキル3区分とSCは「科目A-1(共通知識)+科目A-2(専門知識)+科目B(技能)」の3科目構成になります。
区分ごとの科目構成(改定案より)
| 区分 | 科目構成 |
|---|---|
| IP | 単一科目(知識+マインド・スタンス) |
| DM/SG/FE | 科目A(知識)+ 科目B(技能) |
| PD-M/PD-D/PD-S/SC | 科目A-1(共通知識)+ 科目A-2(専門知識)+ 科目B(技能) |
※各科目の試験時間・出題数は改定案に記載がなく検討中です。数値は今後の公表資料でご確認ください(本サイトも公開後に更新します)。
8. 全区分共通の知識体系「7分野・30中分類」
新制度の科目A(知識)は、7つの分野・30の中分類で体系化されました。生成AI・RAG・AIエージェント・MCP、AI倫理(ELSI/ハルシネーション/説明可能なAI/ヒューマンインザループ)、SBOM、ゼロトラストなど、いまのIT実務を反映した最新トピックが正式に盛り込まれているのが特徴です。
科目A(知識)の7分野・30中分類
| 分野 | 中分類 |
|---|---|
| 1. ビジネス変革 | ①ビジネス変革の方法論 ②経営戦略・デジタル戦略 ③ビジネスモデル・ビジネスプロセス ④サービスマネジメント ⑤プロジェクトマネジメント ⑥デザインのアプローチ ⑦マインド・スタンス |
| 2. データ・AIの利活用 | ⑧データマネジメント ⑨データ分析・データ利活用 ⑩AI利活用 |
| 3. 組織活動 | ⑪経営・組織論 ⑫ガバナンス・監査 |
| 4. デジタル技術 | ⑬デジタルサービス・デジタルツール ⑭システムの種類・構成 ⑮クラウド ⑯ネットワーク ⑰データベース ⑱AI技術 ⑲情報デザイン・情報メディア |
| 5. システムの開発・運用 | ⑳システムライフサイクルプロセス ㉑開発・運用の方法論 ㉒アルゴリズム・プログラミング |
| 6. セキュリティ | ㉓情報セキュリティの脅威 ㉔情報セキュリティマネジメント ㉕情報セキュリティ対策 ㉖セキュリティ実装技術・評価 |
| 7. 倫理・コンプライアンス | ㉗情報倫理・AI倫理 ㉘ビジネス関連法規 ㉙プライバシー関連法規 ㉚セキュリティ関連法規 |
9. 受験を考えている人は、いつ何をすべき?
- 2026年度中に取れる資格は取っておく:現行制度は2026年度で終了予定。現行の応用情報・高度区分などの合格実績は、新制度の免除(検討中)にもつながる可能性があります。狙いが定まっているなら、現行のうちの取得も選択肢です。
- 2027年度から受けるなら、新制度の区分で考える:「自分の狙いは新8区分のどれか」を上の新旧対応で確認しましょう。マネジメント志向ならPD-M、データ・AIならPD-D、システム構築ならPD-S、という具合です。
- 情報のアップデートを待つ:シラバス案・サンプル問題は2026年度夏頃までに順次公表予定。名称・範囲は「案」で変わり得ます。本サイトでは公表され次第、各区分の対策ページを追加していきます。
出典(一次情報)
- IPA「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案 Ver.1.0」(2026年3月)
- IPA「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」(2026年3月31日公表)[link]
- IPA「新試験制度のシラバスについて」(2026年6月30日)[link]/「新試験制度のサンプル問題について」(2026年6月22日)[link]
- 情報処理技術者試験制度の見直し(IPA)[link]
※本記事の新試験区分名はすべて仮称であり、内容は公表時点の検討状況(案)にもとづきます。最終的な仕様はIPAの公式発表をご確認ください。(最終更新:2026年7月1日)
