データマネジメント試験(仮称)科目A サンプル問題 全3問を徹底解説【データガバナンス・データ品質・メタデータ】

データマネジメント試験 科目Aサンプル問題 全3問解説のアイキャッチ データマネジメント試験
本記事について:取り上げるのは、IPA(情報処理推進機構)が2026年6月22日に公開した「データマネジメント試験(仮称)」科目Aのサンプル問題です。問題文・図表はIPA公式サンプル問題(©2026 独立行政法人情報処理推進機構)を引用しています。IPAは、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、サンプル問題を問題集・テキストに使用する際の許諾・使用料は不要と明言しています。試験名は仮称で、内容は検討段階の「案」です。(最終更新:2026年7月9日/出典:IPA公式

新設されるデータマネジメント試験(仮称)は、まだ過去問がありません。だからこそ、公式サンプル問題が出題イメージをつかむ最良の材料です。この記事では、科目A(知識)の全3問を、公式問題のキャプチャ付きで1問ずつ解説します。正解を示すだけでなく、なぜ他の選択肢が誤りなのかまで全部つぶすので、周辺知識ごと身につきます。テーマは①データガバナンス/②データ品質/③メタデータの3本柱です。

問1:データガバナンスが重要な理由

データマネジメント試験 科目A サンプル問題 問1。組織においてデータガバナンスを確保することが重要である背景及び理由として最も適切なものを問う4択問題

出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問1(©2026 IPA)

正解

データガバナンスとは、組織のデータを「資産」として適切に管理・統制し、価値を引き出すための枠組みです。その目的は、データの品質やセキュリティを保ち、正確な意思決定や法令遵守を実現して、組織の価値と信頼を高めること。選択肢アがこの定義そのものを述べています。

  • :データの品質・セキュリティを維持し、意思決定の精度向上・法令遵守を実現して組織の価値と信頼を高める。データガバナンスの目的の正確な説明で、正解
  • ×:データを部門ごとに分断(サイロ化)して秘匿する、という内容。これはデータガバナンスが解消しようとしている状態そのもの。方向が真逆で誤り。
  • ×:目的を「情報システム部によるITコントロールの強化」に狭めています。データ基盤導入の評価基準づくりは関連活動ですが、ガバナンスが重要な理由は組織全体の価値・信頼であり、IT部門の統制強化ではありません。主語がずれています。
  • ×:人手の業務を自動化して人的コストを最適化する、という内容。これは業務効率化・デジタル化の話で、データガバナンス(品質・信頼・法令遵守)とは目的が別です。
混同注意:データガバナンス と データマネジメント。ガバナンス=「誰が・どんな方針とルールでデータを統制するか」という枠組み・方針。マネジメント=その方針のもとで品質管理・整備などを実行する活動。ガバナンスが上位の考え方だと押さえましょう。

問2:データ品質を劣化させる「望ましくない対応」

データマネジメント試験 科目A サンプル問題 問2。AIやBIツールの処理対象データの品質劣化につながる望ましくない対応だけを全て挙げた組合せを問う問題

出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問2(©2026 IPA)

正解 ウ(=bだけが望ましくない対応)

望ましくない対応だけを全て」を選ぶ問題です。a〜cを1つずつ、品質を保つ対応か/劣化させる対応かで判定します。

  • a:望ましい対応 … データオーナーから任命されたデータスチュワードが、情報システム部門・DX推進部門・DMOと連携して品質管理を担う。責任と役割分担が明確で、品質を保つ良い体制です。
  • b:望ましくない対応 … 「即時性・柔軟性が下がる」という理由で入力規則やバリデーション(チェック)を設けず、表記や形式を担当者の都度判断に任せる。これは表記ゆれ・不整合・入力ミスを招き、データ品質を劣化させます。これが唯一の望ましくない対応
  • c:望ましい対応 … 複数システムのデータ統合時に、マスターデータの整合性・一貫性を保つため名寄せ・重複排除をルールに沿って実施。品質を保つ正攻法です。

望ましくないのはbのみ。したがって「bだけ」を指すが正解です。

ひっかけの構造:bは「即時性・柔軟性が下がるから」というもっともらしい理由でチェックを外しています。しかしデータ品質管理では、入力時のバリデーションが品質の第一防衛線。ここを外すと後工程の分析・AI活用すべてに悪影響が及びます。「もっともらしい効率化の理由」に惑わされないのがポイントです。

問3:ビジネスメタデータ整備の課題解決

データマネジメント試験 科目A サンプル問題 問3。メタデータをビジネス・IT・システム運用の3つに分類し、ビジネスメタデータの整備の課題を解決する方法を問う問題

出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問3(©2026 IPA)

正解

まず前提のメタデータ(=データについて説明したデータ)の3分類を整理します。問題の表がそのまま3分類に対応しています。

メタデータの3分類(問題の表の整理)

メタデータの3分類。ビジネスメタデータ(データの意味・利用ルール)、テクニカルメタデータ(テーブル名・カラムの型桁)、オペレーショナルメタデータ(作成日時・データ容量)

問われているのは、このうちa=ビジネスメタデータ(データの意味・利用ルール)の整備が難しい、という課題の解決方法です。ビジネスメタデータは業務を知る事業部門が主体となり、組織全体で共通の言葉としてそろえて継続的に管理するのが王道です。

  • ×:aメタデータに記さないでおく=整備を放棄。課題を解決せず、データの意味が共有されないまま活用の妨げになります。
  • ×:一度整備したら更新しない=業務変化で内容が陳腐化。メタデータは継続的な維持管理が前提です。
  • ×:情報システム部門が各部門向けに個別に導入し、運用を各部門に丸投げ。ビジネスメタデータは業務を知る事業部門が主体であるべきで、個別導入は組織横断の一貫性を欠きます。
  • ビジネスグロッサリー(用語集)を各事業部門が参画して組織全体向けに整備し、継続的に管理。組織横断の共通言語をつくる、ビジネスメタデータ整備の正攻法で、正解です。
用語メモ:ビジネスグロッサリー=組織で使う業務用語やデータの意味をそろえた「用語集」。データカタログ=組織にどんなデータがあるかを検索・把握できる「データの目録」。両方をそろえると、誰もが同じ意味でデータを探して使えるようになります。

力だめし:オリジナル予想問題

ここまでの3テーマ(ガバナンス・品質・メタデータ)を横断する、当サイト独自の予想問題です(公式の出題ではありません)。

当サイト独自の予想問題

あるEC企業では、部門ごとに顧客データをばらばらに保有しており、表記ゆれや重複が多発している。全社でデータを利活用するためにまず取り組むべきものとして、最も適切なものはどれか。




解説:表記ゆれ・重複の根本原因は、データの意味や入力ルールが組織でそろっていないこと。まず共通の用語集(ビジネスメタデータ)とデータカタログを整え、名寄せ・重複排除のルールを設けるのが正攻法です(イ)。アは現状維持で悪化、ウは場当たり的で品質が定着せず、エは土台の品質を放置したままAIに任せる誤りです。品質の悪いデータからは正しい分析もAI活用も生まれません。

まとめ:科目Aサンプル3問のポイント

  • 問1(データガバナンス):目的は「品質・セキュリティ・法令遵守で組織の価値と信頼を高める」。サイロ化やIT統制の強化に狭めない。
  • 問2(データ品質):入力時のバリデーションは品質の第一防衛線。「効率化のため」という理由でチェックを外す対応が“望ましくない”。
  • 問3(メタデータ):3分類(ビジネス/テクニカル/オペレーショナル)を区別。ビジネスメタデータは事業部門が参画し、組織横断で継続的に整備する。

科目Aは、用語の丸暗記ではなく「組織で正しくデータを扱う判断」を問う設計です。この視点は科目B(技能)の事例問題にも直結します。

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出典(一次情報)

  • IPA「新試験制度のサンプル問題について」(2026年6月22日公表)[link]
  • IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」および「解答例」(©2026 独立行政法人情報処理推進機構)

※問題文・図表はIPA公式サンプル問題からの引用です。試験名は仮称、内容は検討段階の案であり、今後変更される可能性があります。解説・予想問題は当サイト独自のもので、公式見解ではありません。

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