基本情報技術者試験の科目Aは、90分で60問。 範囲はシラバス(IPAが公表している出題範囲の細目)の23分野に広がっていて、何から手を付けるかで迷いやすい科目です。 この記事では、出題がどこに偏っているかを実際の問題から数えたうえで、 学ぶ順番と、計算で取る単元と暗記で拾う単元の分け方をまとめます。
科目Aはどんな試験か
| 項目 | 科目A | 科目B |
|---|---|---|
| 試験時間 | 90分 | 100分 |
| 出題数 | 60問(全問解答) | 20問(全問解答) |
| 出題形式 | 四肢択一 | 多肢選択(選択肢の数は問題ごとに違う) |
| 問うもの | 知識 | 技能 |
| 出題分野 | テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系 | アルゴリズム16問・情報セキュリティ4問 |
| 合格基準 | 1,000点満点で600点以上 | 1,000点満点で600点以上 |
科目Aは知識を問う四肢択一で、60問すべてに答えます。 このうち採点に使われるのは56問で、残りの4問は今後の出題のための評価に使われます。 科目Bと同じ日に受け、あいだに最長10分の休憩を取れます (ここまではIPAの試験要綱=試験の公式な決まりを書いた文書に明記されています)。
⚠️ 合格基準は科目ごとです。科目A・科目Bとも1,000点満点で600点以上が必要で、 片方が高得点でも、もう片方が届かなければ不合格です。「科目Aを捨てて科目Bで稼ぐ」作戦は成り立ちません。 なお採点はIRT(項目応答理論)なので、正答数がそのまま点数にはなりません。
出題はテクノロジ系に偏っている
IPAは、いまの科目A(60問)の分野別の出題数を公表していません。 そこで、分野が分かる2つの問題を数えました。ひとつは分野の欄が付いている旧・午前試験、 もうひとつは科目A免除試験(認定講座の修了試験。本試験の科目Aと同じ90分60問)です。
| 分野 | 旧・午前試験(〜令和4年度・80問) | 科目A免除試験(令和8年7月・60問) |
|---|---|---|
| テクノロジ系 | 50問(62.5%) | 40問(66.7%) |
| マネジメント系 | 10問(12.5%) | 5問(8.3%) |
| ストラテジ系 | 20問(25.0%) | 15問(25.0%) |
数え方:旧・午前試験は、IPAの解答PDFに付いている「分野」欄をそのまま集計(令和4年度実施の2回分・各80問)。 免除試験は令和8年7月26日実施分の60問を、当サイトが1問ずつ分類したものです。 どちらもIPAが公表した比率ではなく、いまの科目Aの代わりに置いた数字です。
どちらで数えてもテクノロジ系が6割を超え、マネジメント系は1割前後です。勉強時間の配分も、この比率に合わせます。テクノロジ系に6割、ストラテジ系に2割、マネジメント系に1割が目安です。
どれくらい時間がかかるか
IPAは勉強時間の目安を示していません。当サイトは、教科書1章=1〜2時間で置いています。 23章で30〜40時間、これに過去問を解く時間が加わります。1日1章のペースなら1か月弱で一周できる分量です。
一周して終わりにはしません。読んだ章の問題をその日のうちに解き、間違えたところだけを翌日もう一度見ます。 この形なら、2周目は1周目の半分以下の時間で回せます。
何から始めるか ── 基礎理論から、順に積む
テクノロジ系の中でも、先にやると後が楽になる分野があります。
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1. 基礎理論(第1章)
2進数・16進数、負の数、論理演算。ほかの分野の説明がこの言葉で書かれているので、ここが曖昧だと後がすべて曖昧になります。 科目Bの擬似言語(この試験だけで使うプログラムの書き方)を読むときの土台にもなります。
10進数と2進数を、手順で行き来できる
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2. コンピュータシステム(第3〜6章)
CPU、メモリ、システム構成、稼働率(システムが動いている時間の割合)。計算問題がまとまって出る領域で、手順を覚えれば毎回取れます。
稼働率とキャッシュの実効アクセス時間を、式にあてはめて出せる
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3. 技術要素(第7〜11章)
データベース、ネットワーク、セキュリティ。問数が多く、科目Bのセキュリティにもつながります。SQLの読み方や、IPアドレスの範囲を求める計算が出ます。
SQLと正規化、サブネットの計算ができる
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4. 開発技術・マネジメント・ストラテジ(第12〜23章)
用語が中心です。反復で拾う領域なので、最後にまとめて回すほうが効率的です。 ただしアローダイアグラム(作業の順序から最短の日数を求める図)と 損益分岐点(売上と費用が釣り合う点)は計算なので、別扱いで押さえます。
用語を見て、何の話かを一言で言える
計算で取る単元と、暗記で拾う単元を分ける
科目Aは「暗記科目」と言われがちですが、毎回かならず出る計算がいくつもあります。 計算は手順を1つ覚えれば、何年経っても同じように解けます。暗記よりも先に、ここを固めるほうが確実です。
手順を覚えれば取れる単元
基礎理論 … 基数変換、2の補数、論理演算、確率
コンピュータシステム … CPUの性能計算、キャッシュ、稼働率
技術要素 … 正規化、関係演算、サブネット、伝送時間
マネジメント系 … アローダイアグラム、EVM(出来高で進捗と費用を管理する手法)
ストラテジ系 … 損益分岐点、財務指標
反復で拾う単元
技術要素・開発技術 … セキュリティの用語、開発の工程と手法
マネジメント系 … プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、監査
ストラテジ系 … 経営戦略、システム戦略、法務
残りは用語です。用語は覚える前に、その用語が答えになる問題文を見てください。 科目Aの問題文は「◯◯の説明はどれか」という形が多く、説明のされ方まで含めて覚えないと選べません。
教科書 ── シラバスの23章を、この順で
当サイトの科目A教科書は、IPAのシラバス(Ver9.2)の並びそのままに章を立てています。 市販の参考書やシラバスと照らし合わせやすくするためです。読む順は、上の1〜4の段に合わせてください。
全23章・96節・129本の構成です。下にすべての章と、その章で扱う項目を並べます。 リンクになっている記事が、いま読めるものです。第1章から順に増やしていきます。
テクノロジ系 5/77本
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第1章 基礎理論5/10本
離散数学・応用数学・情報に関する理論・通信に関する理論・計測・制御に関する理論
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第2章 アルゴリズムとプログラミング7本
データ構造・アルゴリズム・プログラミング・プログラム言語・その他の言語
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第3章 コンピュータ構成要素7本
プロセッサ・メモリ・バス・入出力デバイス・入出力装置
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第4章 システム構成要素3本
システムの構成・システムの評価指標
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第5章 ソフトウェア6本
オペレーティングシステム・ミドルウェア・ファイルシステム・開発ツール・オープンソースソフトウェア
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第6章 ハードウェア2本
ハードウェア
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第7章 ユーザーインタフェース2本
ユーザーインタフェース技術・UX/UI デザイン
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第8章 情報メディア3本
マルチメディア技術・マルチメディア応用
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第9章 データベース7本
データベース方式・データベース設計・データ操作・トランザクション処理・データベース応用
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第10章 ネットワーク7本
ネットワーク方式・データ通信と制御・通信プロトコル・ネットワーク管理・ネットワーク応用
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第11章 セキュリティ8本
情報セキュリティ・情報セキュリティ管理・セキュリティ技術評価・情報セキュリティ対策・セキュリティ実装技術
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第12章 システム開発技術10本
システム要件定義・ソフトウェア要件定義・設計・実装・構築・統合・テスト・導入・受入れ支援・保守・廃棄
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第13章 ソフトウェア開発管理技術5本
開発プロセス・手法・知的財産適用管理・開発環境管理・構成管理・変更管理
マネジメント系 0/21本
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第14章 プロジェクトマネジメント13本
プロジェクトマネジメント・プロジェクトの統合・プロジェクトのステークホルダ・プロジェクトのスコープ・プロジェクトの資源・プロジェクトの時間・プロジェクトのコスト・プロジェクトのリスク・プロジェクトの品質・プロジェクトの調達・プロジェクトのコミュニケーション
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第15章 サービスマネジメント6本
サービスマネジメント・サービスマネジメントシステムの計画及び運用・パフォーマンス評価及び改善・サービスの運用・ファシリティマネジメント
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第16章 システム監査2本
システム監査・内部統制
ストラテジ系 0/31本
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第17章 システム戦略5本
情報システム戦略・業務プロセス・ソリューションビジネス・システム活用促進・評価
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第18章 システム企画3本
システム化計画・要件定義・調達計画・実施
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第19章 経営戦略マネジメント4本
経営戦略手法・マーケティング・ビジネス戦略と目標・評価・経営管理システム
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第20章 技術戦略マネジメント2本
技術開発戦略の立案・技術開発計画
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第21章 ビジネスインダストリ5本
ビジネスシステム・エンジニアリングシステム・e-ビジネス・民生機器・産業機器
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第22章 企業活動6本
経営・組織論・業務分析・データ利活用・会計・財務
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第23章 法務6本
知的財産権・セキュリティ関連法規・労働関連・取引関連法規・その他の法律・ガイドライン・技術者倫理・標準化関連
⚠️ 2027年度から科目Aは出題範囲の体系が変わります。 IPAは「表記の変更等で、問う知識・技能の範囲そのものに変更はない」としているので、 いま学ぶ内容が無駄になることはありません。並び替えが必要になった時点で、章立てを組み直します。
過去問はいつから解くか
章を1つ読み終えたら、その章の問題だけを解きます。 全部読み終えてから過去問に入ると、最初に読んだ章を忘れた状態で解くことになります。
科目Aの問題は、IPAのサイトで手に入ります。 令和5年度以降は各年度20問ずつの公開問題、それ以前はサンプル問題60問です。 令和2〜4年度の本試験の問題は公開されていません。
よくある質問
科目Aと科目B、どちらから勉強すべき?
プログラミングの経験がなければ科目Aの基礎理論からです。2進数や論理演算は、科目Bの擬似言語を読むときの前提になります。 経験があるなら、科目Bを先に進めながら科目Aを並行して回すほうが速く終わります。
科目Aが免除になる制度があると聞きました
IPAが認定した講座を受け、修了試験に合格すると科目Aが1年間免除されます。 講座を受けるのが前提なので、独学の人は対象になりません。 なお、その修了試験の問題(60問)はIPAのサイトで公開されていて、本試験の科目Aと同じ形式です。
参考書は買ったほうがいいですか
当サイトの教科書はシラバスの並びに合わせてあるので、市販の参考書と章を対応させて使えます。 1冊を選ぶなら、シラバスの版が新しいものを1冊だけにしてください。複数冊を並行すると、同じ範囲を2度読むことになります。 問題はIPAが公開している問題冊子をそのまま使えます。
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この記事で引用した資料
いずれも独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表したものです。IPAは公表済みの試験問題について、教育目的での使用に許諾および使用料を不要としていますが、著作権は放棄していません。本記事では問題文を改変せずに引用しています。
分野ごとの問数は、当サイトがIPA公開の問題冊子を数えたものです。IPAは科目Aの分野別出題数を公表していません。

