確率と統計|順列・組合せ・期待値と、平均・分散の出し方【基本情報技術者試験 科目A】

基本情報技術者試験

科目A 第1章 基礎理論1-5 確率と統計最終更新 2026-09-25

科目Aの確率と統計は、数えることと式にあてはめることでできています。 公式を覚えるより、何を数えているかが分かるほうが速く解けます。 この回では、順列と組合せ、確率の足し算と掛け算、期待値、そして平均・分散までを順に確かめます。シラバスには各種の確率分布やマルコフ過程も挙がっていますが、計算で問われるのはここに挙げた道具です。

出典:基本情報技術者試験 シラバス Ver9.2 大分類1 基礎理論/中分類1 基礎理論/2. 応用数学

(1)確率と統計 ① 確率

順列,組合せ,場合の数,確率とその基本定理,確率分布と期待値,マルコフ過程のあらましを理解する。

(1)確率と統計 ② 統計

度数分布表,ヒストグラム,箱ひげ図,代表値,ばらつき,相関関係,回帰直線など,統計分析の手法を理解する。

順列と組合せ ── 並び順を区別するかどうか

5人の中から3人を選びます。このとき2つの数え方があります。

5人から3人を選ぶ
順列(並べる)   5 × 4 × 3 = 60 通り
組合せ(選ぶ)   60 ÷ (3 × 2 × 1) = 10 通り

並び順まで区別するなら60通り。顔ぶれだけを見るなら、同じ3人の並べ方 3×2×1=6 通りを1つと数えるので 10 通りです。

「誰が1位・2位・3位か」を区別するのが順列、「どの3人か」だけを見るのが組合せです。 組合せは、順列を並べ替えの数で割ると出ます。 3×2×1 のように1ずつ減らして掛けたものを階乗といい、3! と書きます。試験では順列を ₅P₃、組合せを ₅C₃ と書くこともあります。

練習

6人の中から、委員を2人選びます。何通りの選び方がありますか。

確率の足し算と掛け算

10本のくじに当たりが2本あります。1本引いて戻さずにもう1本引きます。

くじ10本のうち当たり2本。1本引いて、戻さずにもう1本引く
1回目が当たる        2/10 = 0.2
2回とも当たる        2/10 × 1/9 = 約 0.022
少なくとも1回当たる  1 − (8/10 × 7/9) = 約 0.378

2回とも当たるのは掛け算。「少なくとも1回」は、1 から「1回も当たらない確率」を引くと速く出ます。

3行目の 8/10 と 7/9 は、はずれのほうの数です。 当たりが2本なのではずれは8本。1本目がはずれる確率は 8/10、 そのあと残り9本のうちはずれは7本なので 7/9。これを掛けたものが「1回も当たらない確率」で、 1 から引くと「少なくとも1回当たる」になります。 ある出来事以外のすべてを余事象といいます。

足すのか、掛けるのか

掛ける(乗法定理) … 「A のあとに B も」と、続けて起きるとき

足す(加法定理) … 「A または B」と、同時には起きない出来事のどちらかのとき

足す例:サイコロで「1 または 2 が出る」確率は 1/6 + 1/6 = 2/6。 1 と 2 は同時に出ないので、そのまま足せます。

2回目の確率が 2/10 ではなく 1/9 になっているのは、1本目を戻していないからです。 このように前の結果によって変わる確率を、条件付き確率といいます。

期待値 ── 1回あたり、平均していくら

当たりが 1/10 で、当たると5,000円もらえるくじがあります。1回引くと平均でいくらになるかが期待値です。

当たり(確率 0.1)   5,000 円 × 0.1 =   500
はずれ(確率 0.9)       0 円 × 0.9 =     0
                                   ─────
期待値                               500 円

期待値は、それぞれの値 × その確率を全部足したものです。参加費が500円より高ければ、続けるほど損をします。

計算より先に来るのは、起こりうる場合をもれなく並べることです。 並べ落とすと確率の合計が 1 にならないので、そこで気づけます。

練習

正しく作られたサイコロを1回振ったとき、出る目の期待値はいくつですか。

代表値 ── 平均値・中央値・最頻値

ここからは統計です。集めた数値を1つの値で代表させるのが代表値で、3種類あります。

点数   40, 50, 60, 60, 90

平均値   (40+50+60+60+90) ÷ 5 = 60
中央値   小さい順に並べた真ん中   = 60
最頻値   いちばん多く出た値       = 60

この例では3つとも 60 ですが、いつも一致するわけではありません。次の段落で、割れる例を見ます。

たとえば点数が 40, 50, 60, 60, 900 だったとします。平均値は 222 に跳ね上がりますが、 中央値は 60 のままです。 極端な値があるときは、平均値より中央値のほうが実感に近くなります。

3つが割れる例も見ておきます。20, 20, 60, 70, 80 なら、平均値は 50、 中央値は 60、最頻値は2回出ている 20 です。 最頻値はいちばん多く出た値なので、真ん中とは限りません。

ばらつき ── 分散と標準偏差

代表値が同じでも、散らばり方は違います。それを表すのが分散と標準偏差です。 さきほどの 40, 50, 60, 60, 90(平均 60)で計算します。

点数 40, 50, 60, 60, 90(平均 60)
平均との差   −20, −10, 0, 0, +30
2 乗        400, 100, 0, 0, 900
分散        (400+100+0+0+900) ÷ 5 = 280
標準偏差    √280 = 約 16.7

差をそのまま足すと 0 になってしまうので、2乗してから平均します。それが分散、平方根を取ると標準偏差です。

差をそのまま足すと −20 − 10 + 0 + 0 + 30 = 0 です。 平均は差し引きが釣り合う位置なので、どんなデータでも必ず 0 になります。だから2乗します。

標準偏差は、もとの数値と同じ単位に戻したばらつきです。点数のデータなら「およそ17点ぶん散らばっている」と読めます。

⚠️ データの散らばりは図でも表します。度数分布表は値の範囲ごとの個数を並べた表、 ヒストグラムはそれを棒にした図、箱ひげ図は、小さい順に並べて4等分した区切り(四分位数)を使い、真ん中の半分を箱、残りをひげで表した図です。

2つの量の関係 ── 相関

2つの量に関係があるかを表すのが相関係数で、−1 から +1 の値を取ります。

相関係数 散布図の見え方 例と注意
+1 に近い 右上がりの直線に近い 身長と体重。片方が増えると、もう片方も増える
0 に近い ばらばらに散らばる 直線でない関係(山なりなど)は、あっても 0 に近くなる
−1 に近い 右下がりの直線に近い 気温とおでんの売上。片方が増えると、もう片方は減る

先に、ひとつ予想してみましょう

2つの量の相関係数が 0.9 でした。このことから言えるのは、次のどれですか。

相関は「一緒に動く」ことしか示さず、片方がもう片方の原因だとは言えません。 第3の要因が両方を動かしている場合があり、これを擬似相関といいます。 点で描いた図を散布図といい、相関係数はその点が直線にどれだけ沿っているかを表します。

⚠️ 2つの量の関係を直線の式で表すのが回帰直線です。 予測に使う側を説明変数、予測される側を目的変数といいます。

まとめ

この回で持ち帰ること

1. 順列は並び順を区別する。組合せは順列を並べ替えの数で割る

2. 続けて起きるなら掛ける、どちらかなら足す。「少なくとも1回」は 1 −(1回も起きない確率)

3. 期待値=値 × 確率 の合計。実際に出る値と一致しなくてよい

4. 代表値は平均値・中央値・最頻値。極端な値があるときは中央値

5. ばらつきは分散(差の2乗の平均)と標準偏差(その平方根)

6. 相関は因果ではない。見かけの相関は擬似相関

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この記事で引用した資料

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本文の例(5人の並び方、くじ、サイコロ、テストの点数)と練習問題は、すべて当サイトが説明のために作ったものです。

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