計測と制御|フィードバック制御・センサー・アクチュエーター【基本情報技術者試験 科目A】

基本情報技術者試験

科目A 第1章 基礎理論1-12 計測と制御最終更新 2026-09-26

エアコン、自動ドア、ロボット。コンピュータが機械を動かす場面では、 外の状態を測り、計算し、動きに変えるという流れが必ずあります。 この回は、その入口(計測)と出口(制御)の話です。 制御のしかたは、①そもそも測るか、②測るなら結果か乱れか、の2つの問いで分かれます。

出典:基本情報技術者試験 シラバス Ver9.2 大分類1 基礎理論/中分類1 基礎理論/5. 計測・制御に関する理論

(1)信号処理

アナログ波形を分析して雑音を除去し,特徴を抽出する信号処理の基本的な仕組みを理解する。

(2)制御に関する理論 ① 制御の仕組み

制御の必要性,考え方を理解する。また,フィードバック制御,フィードフォワード制御など,各種制御の基本的な仕組みを理解する。

② センサー・アクチュエーターの種類と動作特性

コンピュータ制御では,制御対象の光,温度,圧力などの状態をセンサーで検出し,コンピュータが判断して,アクチュエーターを通じて電動,油圧,水圧,空気圧などの機械的な動作に変換し,制御対象を一定の状態に保つなどの制御の必要性,基本的な仕組みを理解する。

信号処理 ── 測った波から、必要なものだけ取り出す

外の世界とコンピュータを行き来する

  1. センサーが、外の状態(光・温度・圧力)を電気の信号にする
  2. A/D 変換で、その信号をデジタルに直す(1-7)
  3. いらない成分を落とす(フィルタリング)
  4. あとの判断に使う数値だけを取り出す(特徴の抽出)
  5. コンピュータが計算して、どう動かすかを決める
  6. D/A 変換で、デジタルをアナログの信号に戻す
  7. アクチュエーターが、その信号を動き(回す・押す)に変える

3 と 4 が信号処理です。デジタルに直してしまえば、雑音を落とすのも、必要な数値を取り出すのも、すべて計算でできます。

センサーが拾う信号には、測りたいもの以外の雑音も混ざります。

信号処理でやっていること

フィルタリング … いらない成分を落とし、必要な成分だけを通す

特徴の抽出 … 波の高さの最大値や、1秒あたりの振動の回数のように、あとの判断に使う数値だけを取り出す

なお、アナログの信号をやりとりする場合は入口と出口の両方で変換が要りますが、 モーターを止める・回すのように出す側がデジタルのままで済む場面では、D/A 変換は要りません。

制御 ── 測るか、測るなら何を測るか

先に、ひとつ予想してみましょう

エアコンがいまの室温を測りながら、設定温度に近づくよう運転を強めたり弱めたりしています。 この制御はどれですか。

フィードバック制御 ── 結果を測って、目標との差で操作する

  1. 目標を決める     (室温を 25 度にしたい)
  2. いまの結果を測る   (室温は 20 度だった)
  3. 目標との差を求める  (5 度たりない)
  4. 差が小さくなるよう操作(暖房を強める)
  5. はじめに戻る     (ここが「輪」)

結果を測って次の操作に使うので、輪になって回り続けます。外が急に冷えても、測り直すたびに差が出るので追いかけられます。

これに対して、結果を測っても次の操作に戻さない形があります。 決めたとおりに動かすだけのオープンループ制御(開ループ制御)です。 電子レンジを3分で止めるのはこれで、中身が温まったかどうかは運転に反映されません。 仕組みは簡単ですが、思ったとおりにならなくても直せません。

フィードフォワード制御 ── 乱れのほうを測って、先に手を打つ

  1. 乱れを測る      (窓が開いた)
  2. 結果への影響を見積もる(このままだと室温が下がる)
  3. 崩れる前に操作する  (先に暖房を強める)
  4. 結果は測らない    (ここが輪にならない)

室温が下がるのを待たずに動けるのが強みです。そのかわり、乱れと結果の関係が分かっていることが前提になります。

2つの問いで分ける

問い1 結果を測って、次の操作に戻すか → 戻すなら フィードバック制御(閉ループ)

問い2(戻さないとき) 乱れの原因を測っているか

  測っている → フィードフォワード制御。崩れる前に手を打つ

  測っていない → オープンループ制御。決めた手順どおりに動かすだけ

※ 結果を戻さない点は同じなので、フィードフォワードも広い意味ではオープンループの仲間に入る

フィードバックは「ずれてから直す」、フィードフォワードは「ずれる前に手を打つ」です。 フィードバックは原因が分からなくても効きますが、ずれが出るまで動けません。 実際の装置では両方を組み合わせることが多く、そのときはどちらの働きが主かで呼びます。

⚠️ これは「何を測って、どう使うか」で切った分け方です。制御の分け方はほかにもあり、 洗濯機のように決めた順番どおりに工程を進めるやり方をシーケンス制御といいます。 次の工程へ移る条件(満水になったか)は測りますが、目標との差で操作の強さを加減はしません。

練習

エアコンが、外気温の予報を受け取って先に運転を強め、 同時に室温も測って微調整しています。 このうち、フィードフォワードにあたるのはどちらの動きですか。

応答特性と安定性 ── 落ち着くまでと、そもそも落ち着くか

2つの見方

応答特性 … 落ち着くまでの過程を見る。目標に届くまでの速さ、行き過ぎの大きさ、落ち着くまでの時間

制御安定性 … そもそも落ち着くかを見る。振れがしだいに小さくなるなら安定、しだいに大きくなる(発散する)なら不安定

急いで目標へ近づけようとすると行き過ぎが増え、落ち着きにくくなります。 速さと落ち着きは両立しにくく、どこで折り合いを付けるかが制御の設計です。 なお、振れの大きさが変わらないまま続く状態は、安定と不安定の境目にあたります。

練習

目標に近づけようと操作したところ、行き過ぎと戻りすぎをくり返し、 その振れがだんだん大きくなっていきました。この状態はどれですか。

間に合わせるための仕組み ── リアルタイム OS

ここまでは制御の良し悪しの話でした。もうひとつ、時間そのものが条件になる場面があります。 ブレーキやロボットの制御では、答えが正しくても間に合わなければ意味がありません。

速いことより、遅れないこと

リアルタイム OS … 決められた時間内に処理を終えることを保証する基本ソフト。平均が速いことよりも、最悪のときでも遅れないことを優先する

センサーとアクチュエーター

センサーは外の状態を電気の信号に変える部品、 アクチュエーターは電気の信号を機械の動きに変える部品です。 入口と出口で、向きがちょうど逆になります。

センサー ── 何を、どう測るか

光学センサー … 目に見える光の明るさ。反射した光でものの有無も分かる

赤外線センサー … 赤外線。人や物が出す赤外線の変化をとらえるのが人感センサー

温度センサー … 温度。サーミスタは、温度によって電気の流れにくさが変わる素子

湿度センサー … 空気中の水分。水分を吸うと電気の性質が変わる素子を使う

圧力センサー … 押される力。受ける板のたわみをひずみゲージで読む。ひずみゲージは、伸びると細く長くなって電気が流れにくくなる

磁気センサー … 磁界の強さ。ホール素子は、磁界の中を電流が流れると横向きに電圧が出る性質を使う。ドアの開閉検知や回転数の計測に使う

加速度センサー … 速さの変わり方。止まっているときは重力の向きが分かるので、傾きも分かる

ジャイロセンサー … 回る速さ。向きがどれだけ変わったかを追える

超音波センサー … 人の耳に聞こえない高い音を出し、跳ね返りが戻るまでの時間から距離を測る

加速度センサーとジャイロセンサーの分かれ目は、重力が使えるかどうかです。 どちらに傾いているかは重力の向きで分かるので加速度センサーでも読めますが、 平らなまま向きだけ変える回転は重力が変わらないため、ジャイロセンサーでなければ追えません。

練習

机に置いたスマートフォンを、持ち上げずに、平らなまま その場で 90 度回しました。 回した量を追えるのはどれですか。

アクチュエーター ── 何で動かすか

モーター … 電気で回す。細かい制御がしやすい

油圧シリンダ … 油の圧力で押し引きする。油はほとんど縮まないので、大きな力が出せて、途中で止める位置決めも正確

空気圧シリンダ … 空気の圧力で押し引きする。軽くて速いが、空気は縮むので途中の位置決めは苦手

練習

自動ドアを作ります。人が近づいたことを知る部品と、 ドアを動かす部品の組み合わせはどれですか。

まとめ

この回で持ち帰ること

1. 入口が A/D 変換、出口が D/A 変換。そのあいだのフィルタリングと特徴の抽出が信号処理

2. 結果を測って戻すのがフィードバック、乱れの原因を測って先に打つのがフィードフォワード、どちらもしないのがオープンループ

3. 応答特性は落ち着くまでの過程、制御安定性はそもそも落ち着くか。振れが発散するのが不安定

4. リアルタイム OS は、速いことではなく遅れないことを保証する

5. センサーは外の状態を電気に、アクチュエーターは電気を動きに変える

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この記事で引用した資料

いずれも独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表したものです。IPAは公表済みの試験問題について、教育目的での使用に許諾および使用料を不要としていますが、著作権は放棄していません。本記事では問題文を改変せずに引用しています。

本文の例(暖房で室温を保つ手順、窓を開けたときの先回り、自動ドアの部品)と練習問題は、すべて当サイトが説明のために作ったものです。

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