新設されるデータマネジメント試験(仮称)は、まだ過去問がありません。だからこそ、公式サンプル問題が出題イメージをつかむ最良の材料です。この記事では、科目A(知識)の全3問を、公式問題のキャプチャ付きで1問ずつ解説します。正解を示すだけでなく、なぜ他の選択肢が誤りなのかまで全部つぶすので、周辺知識ごと身につきます。テーマは①データガバナンス/②データ品質/③メタデータの3本柱です。
問1:データガバナンスが重要な理由
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問1(©2026 IPA)
データガバナンスとは、組織のデータを「資産」として適切に管理・統制し、価値を引き出すための枠組みです。その目的は、データの品質やセキュリティを保ち、正確な意思決定や法令遵守を実現して、組織の価値と信頼を高めること。選択肢アがこの定義そのものを述べています。
- ○ア:データの品質・セキュリティを維持し、意思決定の精度向上・法令遵守を実現して組織の価値と信頼を高める。データガバナンスの目的の正確な説明で、正解。
- ×イ:データを部門ごとに分断(サイロ化)して秘匿する、という内容。これはデータガバナンスが解消しようとしている状態そのもの。方向が真逆で誤り。
- ×ウ:目的を「情報システム部によるITコントロールの強化」に狭めています。データ基盤導入の評価基準づくりは関連活動ですが、ガバナンスが重要な理由は組織全体の価値・信頼であり、IT部門の統制強化ではありません。主語がずれています。
- ×エ:人手の業務を自動化して人的コストを最適化する、という内容。これは業務効率化・デジタル化の話で、データガバナンス(品質・信頼・法令遵守)とは目的が別です。
問2:データ品質を劣化させる「望ましくない対応」
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問2(©2026 IPA)
「望ましくない対応だけを全て」を選ぶ問題です。a〜cを1つずつ、品質を保つ対応か/劣化させる対応かで判定します。
- a:望ましい対応 … データオーナーから任命されたデータスチュワードが、情報システム部門・DX推進部門・DMOと連携して品質管理を担う。責任と役割分担が明確で、品質を保つ良い体制です。
- b:望ましくない対応 … 「即時性・柔軟性が下がる」という理由で入力規則やバリデーション(チェック)を設けず、表記や形式を担当者の都度判断に任せる。これは表記ゆれ・不整合・入力ミスを招き、データ品質を劣化させます。これが唯一の望ましくない対応。
- c:望ましい対応 … 複数システムのデータ統合時に、マスターデータの整合性・一貫性を保つため名寄せ・重複排除をルールに沿って実施。品質を保つ正攻法です。
望ましくないのはbのみ。したがって「bだけ」を指すウが正解です。
問3:ビジネスメタデータ整備の課題解決
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」問3(©2026 IPA)
まず前提のメタデータ(=データについて説明したデータ)の3分類を整理します。問題の表がそのまま3分類に対応しています。
メタデータの3分類(問題の表の整理)
問われているのは、このうちa=ビジネスメタデータ(データの意味・利用ルール)の整備が難しい、という課題の解決方法です。ビジネスメタデータは業務を知る事業部門が主体となり、組織全体で共通の言葉としてそろえて継続的に管理するのが王道です。
- ×ア:aメタデータに記さないでおく=整備を放棄。課題を解決せず、データの意味が共有されないまま活用の妨げになります。
- ×イ:一度整備したら更新しない=業務変化で内容が陳腐化。メタデータは継続的な維持管理が前提です。
- ×ウ:情報システム部門が各部門向けに個別に導入し、運用を各部門に丸投げ。ビジネスメタデータは業務を知る事業部門が主体であるべきで、個別導入は組織横断の一貫性を欠きます。
- ○エ:ビジネスグロッサリー(用語集)を各事業部門が参画して組織全体向けに整備し、継続的に管理。組織横断の共通言語をつくる、ビジネスメタデータ整備の正攻法で、正解です。
力だめし:オリジナル予想問題
ここまでの3テーマ(ガバナンス・品質・メタデータ)を横断する、当サイト独自の予想問題です(公式の出題ではありません)。
あるEC企業では、部門ごとに顧客データをばらばらに保有しており、表記ゆれや重複が多発している。全社でデータを利活用するためにまず取り組むべきものとして、最も適切なものはどれか。
まとめ:科目Aサンプル3問のポイント
- 問1(データガバナンス):目的は「品質・セキュリティ・法令遵守で組織の価値と信頼を高める」。サイロ化やIT統制の強化に狭めない。
- 問2(データ品質):入力時のバリデーションは品質の第一防衛線。「効率化のため」という理由でチェックを外す対応が“望ましくない”。
- 問3(メタデータ):3分類(ビジネス/テクニカル/オペレーショナル)を区別。ビジネスメタデータは事業部門が参画し、組織横断で継続的に整備する。
科目Aは、用語の丸暗記ではなく「組織で正しくデータを扱う判断」を問う設計です。この視点は科目B(技能)の事例問題にも直結します。
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出典(一次情報)
- IPA「新試験制度のサンプル問題について」(2026年6月22日公表)[link]
- IPA「データマネジメント試験(仮称)科目Aのサンプル問題」および「解答例」(©2026 独立行政法人情報処理推進機構)
※問題文・図表はIPA公式サンプル問題からの引用です。試験名は仮称、内容は検討段階の案であり、今後変更される可能性があります。解説・予想問題は当サイト独自のもので、公式見解ではありません。

