プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称・略号PD-S)は、2027年度に新設されるIPAの専門レベルの国家試験です。ひとことで言えば「システムの要件定義・アーキテクチャ設計・開発・運用を主導する専門家」を評価する試験。現行の応用情報技術者と高度試験(システムアーキテクト/ネットワークスペシャリスト/エンベデッドシステムスペシャリスト系)を大括り化した区分です。この記事では、試験の位置づけ・科目B(技能)の4大項目・旧区分との対応・いつから受けられるかを、公式の一次情報だけを根拠に図解します。各章の教科書的な詳細解説にもここから進めます。科目B(技能)は小項目1つ=1記事の教科書シリーズ・全15節を公開済み——このページが全節への目次です。
1. 結論:3行でわかるPD-S(システム)試験
2. PD-S(システム)試験とは(公式の定義)
目標とするスキル水準として、改定案では「開発と運用の連携(DevOps的なチームビルディング)」「AI・クラウドなど高度化する技術動向の継続的把握とレガシーのモダナイゼーション提案」が全体像として掲げられ、分野別に①アーキテクチャ設計 ②ネットワーク基盤 ③フィジカルコンピューティング ④モダンな開発・運用の4本柱が示されています。
想定される活躍場面には、「ビジネス要件からシステム要件を定義しアーキテクチャを設計する」「クラウド・ネットワーク基盤を設計・構築・導入する」「サイバーフィジカルシステムの実現に向けてフィジカルコンピューティングを導入する」「モダンな開発・運用環境で高い生産性と品質を実現する」などが挙げられ、システムの設計から開発・運用までの全体をリードする専門家像が描かれています。
3. いつから受けられる?試験方式は?
新制度は2027年度から段階的に始まります。PD-Sは2027年度の夏頃〜秋頃の開始が予定されているグループに含まれます。
新制度・施行スケジュール(IPA検討状況より・PD-Sの位置)
※新制度は全区分がCBT(コンピュータ試験)方式。現行の高度試験にあった論述式は含まれない見込みで、多肢選択式・ケース問題が中心とされています。PD-Sの試験時間・出題数などの詳細は未公表(検討中)です。
4. 旧区分との関係:あなたの狙っていた試験はどこへ?
今回の再編では、応用情報技術者と高度試験が「マネジメント/データ・AI/システム」の3区分に大括り化されます。PD-Sは、このうちシステム構築系の受け皿です。
| これまで(現行) | 新制度での位置づけ |
|---|---|
| システムアーキテクト(SA) | PD-S(システム)へ再編(応用情報+高度の大括り化) |
| ネットワークスペシャリスト(NW) | |
| エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) | |
| 応用情報技術者(AP) | PD-M/PD-D/PD-S の3区分へ大括り化(受験の狙いに応じて選択) |
※新旧の対応はIPA「制度見直しの検討状況」(2026-03-31公表)にもとづく整理です。個々の現行区分がどの新区分に「1対1で置き換わる」といった細部は公式に確定していないため、断定は避けています。
5. 科目B(技能)の4大項目 = この試験の教科書マップ
PD-Sの科目B(技能)は、次の4つの大項目で構成されます(シラバス案Ver0.2)。当サイトでは、章ごとの全体像(章ハブ)に加えて、小項目1つ=1記事の教科書・全15節を公開済みです。下のカードから各章・各節に進めます。
PD-S 科目B(技能)の4大項目
- デジタル戦略・業務モデリング・ニーズ分析にもとづく業務要件定義とシステム化計画
- 機能要件(データ構造の設計を含む)/非機能要件(性能・品質・セキュリティ)の定義
- クラウド・マイクロサービス・仮想化・マイグレーションを考慮したアーキテクチャ設計
- IoT・組込み/制御のHW・SWトレードオフ、セーフティ・高信頼性設計
- 通信方式・プロトコル・アドレッシング・VPN・NW/サーバ仮想化・NWセキュリティの適用
- クラウド/各種NWサービスとオンプレを組み合わせた基盤設計(冗長化を含む)・構築・導入
- 運用・トラブル対応(原因特定・対処)・保守・改善
- IoT・組込み/制御のソフトウェア設計(リアルタイム処理など)
- ハードウェア設計(センサー・アクチュエーターの活用など)
- 要素技術・デバイスの適用可能性(環境要件適合を含む)を踏まえた選定・調達・導入
- システム・ソフトウェアの設計・実装・インテグレーション
- テストの計画と実施、結果の分析、品質評価
- 開発手法の適用(アジャイル/CI/CD/DevSecOps/AI駆動開発など)
- 開発プラットフォーム活用・運用管理・インフラ管理・SRE(PaaS/Git/SBOMなど)
※出典:IPA「PD(システム)試験 科目B シラバス(案 Ver0.2)」。科目A-2(専門知識)の出題範囲の細目はVer0.2(2026年7月31日更新)で公開されました。科目A-1(共通知識)の出題範囲・試験時間・出題数は本記事執筆時点で未公表です。
6. だれ向け? いま何をすべき?
- システムの上流〜運用を担うエンジニア:要件定義・アーキテクチャ設計・ネットワーク・組込み・モダン開発運用を主導する人にとって、PD-Sは専門性の証明になります。旧SA/NW/ESを狙っていた人の主な受け皿です。
- 2026年度中に取れる高度区分は取っておく:現行制度は2026年度で終了予定。高度試験の合格実績は、新制度の免除(検討中)につながる可能性があります。
- いま準備するなら:科目B(技能)のシラバス案はすでに公開されています。まずは4大項目の全体像(本記事)をつかみ、各章の教科書解説でモダンな技術用語(ゼロトラスト・SRE・フィジカルAIなど)を体系的におさえるのが近道です。範囲・形式は「案」段階のため、最新情報は当サイトでも追って更新します。
関連記事・次に読む
出典(一次情報)
- IPA「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案 Ver.1.0」(2026年3月)— PD(システム)試験(仮称)の概要・目標スキル水準
- IPA「PD(システム)試験 科目B シラバス(案 Ver0.2)」(2026年7月31日更新)[link]
- IPA「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」(2026年3月31日公表)[link]
※本記事の試験区分名はすべて仮称であり、内容は公表時点の検討状況(案)にもとづきます。試験時間・出題数・合格基準などは未公表です。最終的な仕様はIPAの公式発表をご確認ください。

